就労継続支援b型とa型の違いとは?【雇用契約を契ぶかどうか】
就労継続支援A型とB型の最大の違いは、雇用契約を結ぶかどうか!
契約の有無で、働き方が変わります。
就労継続支援b型とは、障害や難病を持ち一般企業での就労が難しい方に働く機会を提供する福祉サービスです。
働くために必要な知識を養ったり、仕事に用いる能力を向上させる訓練を受けたりすることができます。
就労継続支援にはa型も存在し、b型とはいくつかの点で違いがあります。
その主な違いは、支援の対象者・雇用契約・工賃(賃金)にあります。
では、それぞれについてこれから見ていきましょう。
a型・b型事業所のここが違う【対象者や工賃・雇用契約が違う】
就労支援 | 就労継続支援a型 | 就労継続支援b型 |
対象者 | 一般就労が難しい方 | 一般就労とa型事業所の就労が難しい方 |
雇用契約 | あり | なし |
年齢条件 | 原則18~65歳未満 | 年齢制限なし |
報酬 | 最低賃金以上の報酬 | 成果報酬型 |
工賃(平均賃金) | 81645 | 16507 |
施設数 | 3922 | 13828 |
利用者数 | 75571 | 282409 |
雇用契約の有無が、働く際の大きな違いとなっています
具体的にどこが違うのか見ていきましょう!
a型・b型事業所は対象者が違う!【年齢制限の有無・a型が難しい方もb型に】
就労継続支援b型は、対象者の年齢制限がないのが特徴で、a型の原則18~65歳の制限とは対照的です。
障害や難病を理由に一般就労が難しい方、a型の就労形態も合わない方でも、利用することができます。
利用者本人の体調や生活のニーズに合わせ、無理のない範囲で短時間の作業に当たれる、といったメリットがあります。
1週間に1回の通所や、1日1時間の簡単な作業でも働き続けることができます。自分のペースで働くことができるのですね。
また、就労継続支援a型事務所での雇用や一般就労へとつなげるための訓練を受けるためにb型事業所を利用する方もいます。
元々一般で雇用されていたものの、様々な理由で就労が困難になった方がリハビリを兼ねて訓練を受けていることもあります。
主なb型事業所での仕事では、利用者は作業訓練などを通じて生産活動を行い、その成果に対して賃金が支払われる仕組みとなっております。
心身ともに無理のない量の仕事をこなす働き方ができるのです。
b型事業所に対してa型事業所の対象者は、原則18~65歳の年齢制限が存在します。
一般就労は体調などの関係で行えない方でも就労が出来る施設として設計されています。
担当の支援員が付くので、働く際に相談しながら作業が行なえます。
主に軽作業や単純労働を斡旋している事業所が多いです。
就労移行支援と就労継続支援a型・b型は併用することはできません。
b型を利用した後に、一般就労やa型の事業所に移籍した方、就労訓練のために就労移行支援事業所に移った方は実際にいます。
反対に、就労移行支援事業所から一般就労・a型事業所の就労に結びつかなかった方がb型の事業所を利用することもあります。
一般就労ではどうしても身体がついていけない、精神的にどうしても働けないといった事情があっても
働く必要や意欲がある場合に、労働に参加できる環境が徐々に構築されています。
一般就労を含めて、どの事業所を利用するにしても、
障害や難病を抱えた方が社会に参画して働き続けるための場所が用意されているのです。
継続的に働くことは大変な労力が要りますよね。
社会に貢献するという意味でも、生活のために働いて稼ぐという意味でも、
社会資源で用意されたサポートを受けるのは良い選択肢だと思います。
最後に、障碍者総合支援法で規定されている対象者を引用します。
・a型事業所の対象者
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係の状態にない者・b型事業所の対象者
①就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
② 50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
③ ①及び②に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者
a型・b型事業所は労働契約が違う!【a型は雇用契約を結び、b型は結ばない】
就労継続支援a型事業所 | 雇用契約あり |
就労継続支援b型事業所 | 雇用契約なし |
就労継続支援b型は、事業所との労働契約を結ぶことはありません。
つまり、労働者として雇用されるわけではないため、最低賃金以上の報酬が保証されてはいません。
詳しくは後述しますが、これはb型事業所の平均賃金が低めである要因の一つです。
その代わりに、決まった時間の拘束がなく、個々人の事情や体調、障害や難病などの状況に合わせて柔軟に働きかたを組み立てることができます。
軽作業を通して、a型事業所や一般就労に向けた職業訓連を受け能力やスキルを発達させることができます。
b型に対して、就労継続支援a型は事業所と雇用契約を結びます。
すなわち、労働者として雇用される形となります。
労働3法の基準に沿うことになりますので、最低賃金が保証されます。
一般就労との大きな違いは、比較的に労働時間が短いことですね。
a型事業所の平均労働時間は、4~8時間となっております。
身体の調子によって長時間働くことが難しい方にも雇用関係で働くことの出来る特徴があります。
a型で就労に慣らして、一般就労移行する方もいます。
a型・b型事業所は工賃が違う!【a型は最低賃金保証、b型は成果報酬型】
a型事業所の平均工賃 | 81645円(月額) |
b型事業所の平均工賃 | 16507円(月額) |
b型事業所では、利用者が雇用契約とを結ばず、非雇用型とも呼ばれます。
そのため賃金となる工賃は、実際に行った作業に対しての成果報酬型で支払われます。
雇用契約を結ばないことで労働関係の法律が適用されず、最低賃金は保証されません。
令和3年度のb型事業所の平均工賃は16507円であり年々上昇傾向にあります。
その代わりに、障害や難病の状態・体調に合わせて、週に1~5日の勤務日数など働き方を柔軟に組み立てることができます。
1日の作業時間は2~4時間が多いです。
事業所によっては仕事の受注量が少なく、その影響で安定的に仕事ができない所もあり、単純作業が多いのが現実です。
b型では事業所の支援員さんと相談しながら、自分に合った就労ペースや作業内容を模索することが可能です。
少しずつ就労に慣らしていって、就労移行支援に切り替えてa型事業所や一般就労に移行する方も存在します。
そうして収入アップにつなげるといった考え方もできるのですね。
a型事業所では、b型と異なり利用者は事業所との間に雇用契約を結びます。
つまり利用者は労働者という扱いになり、労働基準法の対象となるため、最低賃金が保証されています。
仕事時間は4~8時間と一般企業よりも短く、軽作業を扱う事業所が多いです。
平均工賃は令和3年度で 81645円で、近年は上昇傾向です。
どちらの事業所でも、就労時間が短いためか、一般就労の平均給与よりも工賃の平均額は少ないです。
b型事業所の主な作業内容の例
具体的な作業内容は事業所によりますが、例えば次のようなものがあります。
- パンやクッキーなどのお菓子作り
- 農作業
- 布製品への刺繍などの手工芸
- 機械・器械の部品作りや組み立て
- Webページ制作
事業所内で作業が完結できる、手作業やPC作業といった仕事が多いですね。
就労継続支援事業所を利用するための申請手続き方法
障害・難病のある方が就労支援サービスを受けるためには、障害福祉サービス受給者証の発行が必要となります。
そのため、住民票のある市町村の障害福祉課にまずは相談してみましょう。
もしくは通所するかもしれない事業所に連絡を取り、見学に向かってください。
そのあとに事業所を通じて受給者証の発行手続きを取ることも可能です。
サービス利用までの手順としては以下の通りです。
- 市区町村の障害福祉課に相談する。もしくは、通所候補の事業所を見学する
- 市区町村の福祉窓口に障害福祉サービス受給者証の申請手続きをする。
- 相談支援専門員が作成するサービス等利用計画案を福祉窓口に提出
- 手元に受給者証が交付される
- 就労支援サービスの利用を開始する
通いたい事業所と連絡を取ること、
市区町村の福祉窓口に相談して
受給者証の発行手続きを取ることが必要となります
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
市区町村の障害福祉課に相談する
最初に、住民票を取得している市区町村の障害福祉課窓口に相談するか、
もしくは通所する予定の事業所に連絡を取り見学します。
市区町村の福祉窓口に相談する場合、まずは就労支援を利用したい意思を窓口の方に伝えます。
すると就労支援の担当者に繋いでもらうことができます。
就労支援には就労移行支援・就労継続支援a型/b型・就労定着支援が存在します。
担当者にご自身の生活状況や就労支援が必要な理由を伝え、より適切な支援を受けられるように相談しましょう。
原則として、市区町村の窓口では具体的な事業所や施設の斡旋・紹介ができません。
就労支援の方針が決まったら、ご希望に適う事業所を自分で探す必要があります。
なかなか、ご近所さんなどの他人の口コミを頼るのは難しいかと思います。
役所に置いてある福祉関係のチラシや、スマホ・パソコンでインターネットを用いて
付近に存在する事業所から調べてみると良いかもしれません。
通所したい事業所へ見学に行く
利用したい就労支援サービスが決まっているなら、先に事業所を見学してもよいでしょう。
通所したい事業所に連絡を取ります。
ホームページや電話から資料請求ができる事業所もありますよ。
住んでいる市区町村以外の事業所も利用できますので、
通える範囲の事業所を一通り調べることをお勧めします。
というのも、各事業所によって作業内容やその特色が大きく違うからです。
通いたい事業所が見つかったら、相手の事業所と相談して見学に行ける日取りを予約しましょう。
受給者証がないときでも、事業所を見学することはできます。
見学を通じて、事業所の雰囲気、環境、作業内容などを自分の目で確かめてください。
自身の働き方の希望と、事業所の環境や作業内容が合っていそうか?
支援員と話す中で、スタッフや通所されている方々と良好な人間関係を築けそうか?
働くとなれば、どのような形態であれ長期間同じところに通い続けることになりますよね。
就労環境は生活環境の一部となります。
じっくりと吟味して、自分の身体と合っているかどうかを確かめてください。
しっかりとチェックしましょうね!
どんな就労支援サービスを受けられそうか?
そこで支援を受けたときの生活スタイルを続けられそうか?
自身の希望とすり合わせをしていきましょう。
市区町村の福祉窓口に障害福祉サービス受給者証の申請手続きをする
次に、市区町村の障害福祉課の窓口へ相談し、就労支援担当者と面談をする必要があります。
ここで役所が必要な書類を作成するためのヒアリングが行なわれます。
担当者の方との面談に時間を取りますので、必ず事前に面談の日程の予約を取ります。
当日は筆記具など必要な持ち物を準備して、役所に向かいましょう。
現在の生活環境や、収入状況・受けているサポートなど、質問に答えながら必要な情報を伝えます。
市区町村の担当者とは今後も関係が続きますので、しっかりとコミュニケーションを取ってくださいね。
相談支援専門員が作成するサービス等利用計画案を福祉窓口に提出する
通所する予定の事業所とも面談して、市区町村に提出する必要のある書類を作成してもらいます。
受給者証の発行には、相談支援専門員が作成するサービス等利用計画案が必要となります。
こちらも事業所側と連絡を取り、面談する日取りを予約しましょう。
当日はヒアリングが行なわれます。
生活環境、希望する就労内容やサポート環境、働くペースなどの就労条件などを伝えます。
ここで決定した支援方針や作業内容に沿ってサービスが展開されますので、しっかりと自身の意図を伝えます。
就労支援サービスを通じて働くことで自分が一体何を望んでいるのか、明確にしておくことが大切です。
作成された計画案は、事業所から市区町村の障害福祉課へ郵送されることがほとんどです。
これでサービスを受けるための受給者証発行に必要な書類が揃います。
自宅に受給者証が届くのを待ちましょう。
手元に受給者証が交付される
市区町村や事業所からの面談を通じて書類を提出したら、
1~3週間ほどで市区町村からお住いに受給者証が届きます。
受給者証が届いたら、必ず事業所へ提出してください。
これで、就労支援サービスを受ける用意が整いました。
ここからは実際に働いていく中で、担当の支援員さんと相談しながら、
自分に合った働き方と生活環境を実現していってくださいね。
全ての手続きを終えるのに1か月ほどかかると思います。
ここまでお疲れさまでした。
まとめ
就労継続支援b型は、a型の事業所とどう違うのかを見てきました。
事業所側との雇用契約があるかどうかが、最大の違いでしたね。
利用を想定する対象者・雇用契約・工賃の違いを把握して、
ご自身の身体や生活環境に合った働き方の実現を目指して就労支援を利用してくださいね。
中には生活する中で難しいこともたくさんあるかと思います。
その中でも自分らしく生きるためにも、用意されている公共サービスを知り、積極的に活用してください。
あなたの充実した人生を願っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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